産後のセックスレスが夫の不倫を招いたと自分を責めていませんか?心身の負担によるレスの正当性と、夫婦の信頼を取り戻すための正しい修復手順を解説します。罪悪感を手放し、安心できる関係へ。
産後のセックスレスが原因で不倫されたのは、妻のせいなのか?
産後、夜中の授乳が続き、慢性的な睡眠不足と疲労の中で赤ちゃんを育てていると、夫から誘われても応じる気持ちになれない女性は少なくありません。
それは、夫を愛していないからでも、妻としての努力が足りないからでもありませんよね。
出産による身体的なダメージ、ホルモンの変化、授乳、睡眠不足、育児への緊張。
心と身体が赤ちゃんを守ることに集中している時期に、性的な気持ちになれないのは、珍しい反応ではないのです。
ところが、夫には妻の身体の変化や疲労が十分に理解できないことがあります。
そして不倫が発覚したあと、
「ずっとセックスレスだった」
「夫婦関係は、もう破綻していた」
「何度誘っても断られて傷ついた」
と、夫が主張することがあります。
妻にしてみれば、
「あなたとの子どもを、命を削るような思いで育てていたのに」
という気持ちでしょう。
自分が必死で授乳し、眠れない夜を重ねていた間に、夫は別の女性に心や身体を向けていた。
その事実は、妻の心を深く傷つけます。
しかし、産後のセックスレスがあったことと、夫が不倫をしたことは分けて考えなければなりません。
夫婦の間に寂しさやすれ違いがあったとしても、不倫をした責任を妻が背負う必要はありません。
「あのとき、無理をしてでも夫の相手をすればよかった」
そうやって、自分を罰しないでくださいね。
セックスレスの本当の原因は、身体だけではなく夫婦の信頼関係にある
だからといって、夫だけを責めていても、何も良い方向には行きません。
ここで、夫婦の間でどのような言葉が交わされていたのかを振り返ってみましょう。
体がきつい時に、断ることが悪いのではありません。
ただ、断り方によっては、相手の心を深く傷つけてしまうことがあることを覚えておくのは、大切です。
たとえば、
「あなたは自分の性欲が満たせれば、それでいいの?」
「こっちは夜も眠れずに子どもの世話をしているのに!」
「こんなときによく、そんな気になるよね」
と言われれば、夫は自分の寂しさや愛情まで否定され、「下等な存在として扱われた」と感じるかもしれません。
もちろん、妻がそこまで追い詰められていた背景には、夫の育児への理解不足や協力不足がある場合もあります。
ですから、妻だけが悪かったという話でもありません。
夫には、妻も睡眠が確保できるように、育児を引き受ける責任がある。
妻には、応じられないときにも、できる範囲で相手の尊厳を守る言葉を選ぶ余地がある…ということです。
たとえば、
「誘ってくれら気持ちは嬉しい。でも今日は本当に疲れていて難しいの。ごめんね」
「あなたが嫌なのではなくて、今は身体がついていかないの」
「今度、二人でゆっくりできる時間をつくりたいね」
そんな伝え方もできます。
私が長年、夫婦関係のご相談を受けてきて感じるのは、セックスレスは単に「性交渉がない」という一つの事象ではない、ということです。
その奥には、
・どのような言葉で気持ちを伝えているか
・日常的に信頼し合えているか
・男女として互いの尊厳を守っているか
・夫も妻も、自分自身の性や身体に自信を失っていないか
という、いくつもの問題が重なっています。
不倫された妻は、女性としての自分を否定されたように感じます。
「私には女としての魅力がないのだろうか」
「不倫相手より劣っていたのだろうか」
そうした女性性の傷つきから、
「夫にもう一度求められれば、自信を取り戻せる」
「セックスレスさえ解消すれば、夫婦は元に戻れる」
と、頭の中がそのことでいっぱいになる場合があります。
二人目、三人目の子どもを望む時期と重なれば、焦りはさらに強くなるでしょう。
けれど、身体の関係だけを復活させても、傷ついた信頼関係まで自動的に回復するわけではありません。
###不倫後のセックスレスを解消する前に、夫婦で取り戻したいもの
セックスレスを解消したいとき、最初に目指すものは性交渉ではありません。
まず必要なのは、二人の間に「安心して近づける関係」を取り戻すことです。
強い緊張や不安、責められる恐怖が続いている状態では、男女ともに性的な気持ちや身体の反応が起こりにくくなります。
夫が、
「奥さんの前では緊張する」
「また責められるのではないかと身構えてしまう」
と感じているような戦闘モードの関係では、レスを解消しようと頑張るほど、かえってプレッシャーが強くなることもあります。
一方で、妻が不倫の傷を抱えたまま、夫をつなぎ止めるために無理をして応じることも、健全な解決とは言えません。
次の順番で、夫婦関係を整えていきましょう。
まず、不倫の責任と産後のセックスレスを混同しないこと。
次に、お互いが何に傷つき、何を寂しいと感じていたのかを、勝ち負けではなく理解するために話すこと。
そして、性交渉をゴールにせず、会話、感謝、家事や育児の分担、二人で過ごす時間、手をつなぐことや軽いハグなど、安心できる接触から少しずつ取り戻すことです。
「夫の不倫を防ぐために、これからは誘いを断ってはいけない」
そう考える必要はありません。
夫婦とは、片方が我慢して相手の欲求に応え続ける関係ではないはずです。
応じるかどうかを選ぶ権利も、断られて傷ついた気持ちを伝える権利も、夫婦の双方にあります。
大切なのは、その権利を相手の尊厳を壊すために使わないことです。
「私はあなたに大切にされている」
「自分の弱さを見せても、否定されない」
「この人のそばでは身構えなくていい」
そんな安心と信頼が重要です。
次に考えたいのは、「不倫した夫を許せないまま夫婦関係を修復できるのか」という問題です。
身体の関係を急いで取り戻す前に、不倫で壊れた信頼をどのように回復するのかを、夫婦で丁寧に見つめ直す必要があります。