不倫うつとは?妻の傷と夫の喪失感からの再構築

コラム

不倫うつとは何か?不倫された妻の絶望と、不倫した夫の喪失感・罪悪感の原因を解説。互いの痛みを背負い込まずに心身を休め、過去ではなく現在の日常を少しずつ積み重ねて夫婦関係を再構築していくための具体的なステップをお伝えします。

不倫うつとは?不倫された妻と、不倫した夫がうつ状態になる時。

「不倫うつ」という言葉があります。

これは正式な医学用語ではありませんが、不倫をきっかけに心身のバランスを崩し、眠れない、食べられない、気力が出ない、何をしても楽しめないといった、うつ状態に近い症状が出ることがあります。

そして、「不倫うつ」と呼ばれる状態には、大きく分けて二つの立場があると思っています。

一つは、不倫された妻がうつ状態になるケース。

もう一つは、不倫をした夫側が、不倫相手と別れて家庭に戻ったあとにうつ状態になるケースです。

この二つは、同じ「不倫をきっかけにした落ち込み」であっても、その中身はかなり違います。

###不倫された妻がうつ状態になるのは、信頼の土台が崩れるから

不倫された妻が受ける傷は、単に夫がほかの女性を好きになったということだけではありません。

夫婦として一緒に積み重ねてきた時間や、家族として生きてきた年月、そのすべての意味が揺らいでしまうところに大きな苦しさがあります。

信じていたものが、急に信じられなくなる。

今の夫だけではなく、過去の夫婦生活まで疑わしく見えてしまいまふ。

楽しかった旅行も、何気ない日常も、本当に同じ気持ちで一緒にいたのだろうか?と考えてしまいますよね。

不倫という出来事は、妻にとって過去と現在だけではなく、これから先の未来にまで影を落とす、絶望的な出来事です。

この人をもう一度信じていいのか?
やはり、離婚した方がいいのだろうか?
自分はこれからどう生きていけばいいのか?さえ、わからなくなります。

こうして、夫婦関係の土台そのものが崩れてしまうため、心だけではなく、身体にまで症状があらわれることもあります。

眠れなくなり、食べられなくなり、一気に体重が落ちる人もいます。これまで楽しく感じられていた趣味や仕事まで、まったく楽しさを感じられなくなり、心が無になって行く…

それほどまでに、不倫されるのは大きな出来事なのです。「不倫は心の殺人」と言われるのも、決して大袈裟な表現ではないと思います。

不倫した夫が、別れたあとにうつ状態になることもある

一方で、不倫をした夫が、不倫相手と別れたあとに大きく落ち込むこともあります。

妻からすれば、不倫相手と別れて家庭に戻って来たのだから、ここから死に物狂いで、家族を大切にしてほしいと切望するところですよね。

ところが、現実にはそう簡単に気持ちが切り替わらない夫も多いのです。

不倫相手との関係が終われば、そこには失恋と似た喪失感が、夫の心に残ります。

たとえ許されない関係だったとしても、本人にとっては感情を動かした恋愛。妻としては考えたくないかも知れませんが、夫にとっては、日常の一部になっていた関係です。

それが突然なくなれば、心に穴が空いたような感覚になるでしょう。

同時に、妻や子どもを傷つけた罪悪感が重なります。

自分はそんな不倫なんてことをする人間ではないと思っていた。
それなのに、自分は実際に妻を裏切ってしまったのです。

自分自身への信頼が、根本的に崩れている状態です。

この先、家族の中でどんな顔をして生きていけばいいのか?

子どもに軽蔑されるのでは?

妻は本当に自分を許して、受け入れてくれるのか?

自分はこれからずっと、不倫をした人間として見られていくのか?

こうした不安や罪悪感、自責の念、喪失感が一度に重なることで、強いストレス状態に陥るのは、何となくでもわかりますよね。

不倫された妻にとって、夫の落ち込みを見ることは、
不倫されたそのものよりも、もっと苦しいことかもしれません。

不倫された妻は、すでに自分自身が深く傷ついています。

本来なら、誰かに支えてもらいたいほどの状態です。

ところが、不倫をした夫の方が深く落ち込み、仕事に行けなくなったり、家で沈み込んだり、何もできなくなったりすると、妻はさらに苦しい立場に置かれます。

自分を傷つけた人が、自分よりも弱っているのです。

そんなに不倫相手との別れがつらいのか?と思えば、さらにやっていられない気持ちになります。

泣きたいのはこっちのに、夫が落ち込んでいる姿を見れば、放っておくこともできません。

それでも子育てはあるし、家事も仕事もしないわけには行きません。

こうして妻は、自分の傷を抱えたまま、家族全体を支えようとしてしまうのです。

ただ、ここで一つ大切なのは、夫が落ち込んでいるからといって、妻は夫のカウンセラーになる必要はないということです。

不倫された妻の中には、夫の気持ちを細かく聞き取り、共感し、寄り添ってあげるまで、してしまう人もいます。
けれどそれはしなくて良いです。

そこまで妻が背負ってしまえば、今度は妻自身が壊れてしまいかねません。

そして何より、夫は自分の人生の後始末もできずに、ますます自分を信頼できない人間になって、苦しむことになるかもしれません。

もし夫婦を再構築していきたいのであれば、夫の問題は夫に任せてることは、重要です。

妻は妻で、やることがあります。

それは、夫をずっと批判の対象として見る目を手放し、
関係を作り直す方向に、目を向けて行くことです。

###再構築に必要なのは、無理な共感ではなく「ありのままを受け入れること」

不倫後の再構築というと、夫を許すことだと思われがちですが、そうではありません。

すぐに許せなくてもいいのです。
傷ついた気持ちが残っていて当たり前なのです。

それでも、今ここにいる夫を、今の夫として見ていくことはできます。

不倫した事実だけで夫のすべてを決めつけず、この人は今、何を感じていて、これからどう生きようとしているのか?過去ではなく、今と未来を見て行きます。

それは、無理に肯定することでも、不倫をなかったことにすることでもありません。

相手を裁く視点から少しずつ離れて、今目の前にいる一人の人間として夫を見るのです。

夫が落ち込んでいる時に、無理に励まそうとしなくても大丈夫です。

何度も気持ちを聞き出す必要もありません。

ただ、責め続けるのではなく、静かに生活を続けること。
夫婦として普通に過ごせる時間を、少しずつ増やしていくことはできます。

一緒にご飯を食べる。少し散歩をする。子どもの話をする。たわいもないことに、笑う。

そんな何でもない時間が、夫婦の関係を作り直していく土台になります。

再構築というのは、大きな話し合いを一度して完成するものではありません。

安心できた時間を少しずつ積み重ねていくことです。

不倫のことしか存在しない夫婦から、少しずつ、不倫以外の時間も持てる夫婦に戻っていくのです。

休むことを許すことも、夫婦を立て直すための一つの選択

心身が大きく疲れている時に、無理に答えを出そうとしてもうまくいきません。

眠れない日が続いている。
食事が取れない。
仕事に行けない。
日常生活が回らない。

そういう状態であれば、まずは絶対的に休むことが必要です。

夫にも休む時間が必要かもしれません。

そして、妻にも同じように休む時間が必要です。

夫が倒れているからといって、妻が全部を背負わなくても良いのです。

自分が傷ついているからといって、夫を一生責め続けなければならないわけでもありません。

妻と夫、それぞれが自分の心と身体を立て直しながら、少しずつ夫婦の時間を作っていきましょう。

それが再構築の始まりになります。

不倫後は、すぐに以前の夫婦には戻りません。それが当たり前なのです。再構築できた夫婦も、みんなそうです。

むしろ、以前とは違う夫婦をこれから作っていくくらいの気持ちでいてください。

傷ついたことも、失敗したことも、なかったことにはできません。

それでも、不倫のあとに、どんな関係を作っていくかは自分たち次第です。

時に、休むことを許し、
今の相手をありのままに見る。

夫婦で穏やかに過ごせる時間を少しずつ増やしていく…

そうやって焦らず日常を積み重ねていくことが、壊れた信頼をもう一度育てていくことにつながっていくのです。


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