HSP妻が夫の何気ない言動や違いに傷つき、すれ違う原因を解説。感じ方のギャップを認め合い、歩み寄るための解決策を提示。
HSP妻はなぜ夫に傷つくのか
「どうして、そんなことが平気なの?」
「普通、こうするでしょう?」
「私がこんなに傷ついているのに、夫はどうしてわからないの?」
夫婦カウンセリングをしていると、こうした夫婦関係の苦しさを抱える女性に出会います。
夫からすれば、
「そんなに怒ること?」
「そこまで気にする?」
「別に悪気はなかった」
という出来事でも、妻にとっては決して「そんなこと」では片付けられないのです。
言葉のニュアンス。
言い間違え。
何気ない一言。
その場の空気。
ほかの人なら軽く流せてしまうことでも、深く傷ついてしまう繊細なタイプの人が、この世の中には存在します。
そんな妻が、傷つきやすいことより苦しいのは、
「私はこんなに傷ついているのに、わかってもらえない」
ということなのだと思います。
HSPとは?
HSPは「Highly Sensitive Person」の略で、心理学では「感覚処理感受性(Sensory Processing Sensitivity)」に関連する言葉です。病気や精神疾患の診断名ではありません。
刺激を細かく受け取りやすい。
物事を深く処理する。
周囲の変化や人の感情に気づきやすい。
刺激が多いと疲れやすい。
こうした傾向を表します。
そのため、HSP妻には次のようなことが起きやすいかもしれません。
・家の中の変化にすぐ気づく
・何気ない一言に、「ガーン」と強い衝撃を受けてしまうことがある。
・冷たい態度に人一倍傷つく
・夫婦喧嘩のあとも長く引きずることがある。
・子育て中でも、どうしても一人の時間が必要。
・外出先の人混みや音、周囲の刺激でぐったり疲れる
大切なのは、感じすぎる自分を、すぐに「おかしい」と決めつけないことです。
あなたには、あなたの感じ方があります。そこを否定する必要はありません。
HSP妻と夫が噛み合わなくなる理由
人は誰でも、「自分の普通」を相手にも求めてしまいがちです。
HSP妻が夫婦関係を難しくするのは、
「私はこれほど感じるのだから、あなたも同じように感じなければならない」
という前提にあるのかもしれません。
同じ家に住み、長く一緒にいる夫婦でも、同じものを同じようには感じるわけではありません。
妻にとって気になることを、夫はまったく気にしないことは、よくあることなのわです。
それを、「普通はこうでしょう」を前提にすると、夫婦関係は当然悪くなります。
たとえば、妻が家の中の物の配置の変化に気づき、夫が気にせず過ごしていたとします。
夫が使ったものを出しっぱなしにしている。
本の置き場所や向きが違う。
妻にとっては、それが単に「違う」というだけはなく、神経に触るほどのストレスになっていることがあります。
「どうして平気なの?」
「私には耐えられない」
そう感じて夫に指摘を重ねるうち、言葉が強くなったり、怒りが爆発したりすることもあります。
夫には「たいしたことないのに、急にキレた」と見えるでしょう。
しかし妻の中では、突然の怒りではなく、違和感や我慢が積み重なり、限界に達した反応だったりします。
###HSP妻の疲れやすさ
また、HSP妻の疲れやすさをめぐって、衝突が起きることもあります。
外出後、HSP妻は人混みや音などの刺激で疲れ切り、帰宅して横になることがあります。
また、小さな子どもがいても、
相手ができなかなることもあります。
妻にとっては本当にグッタリするほどの疲労で、
回復のために休息がどうしても必要。
でも、夫にはそこまで疲れることだとは思えません。
「また、サボっている」
「子どもの世話があるのに」
「大したことをしていないのに、すぐ横になる」
そんなふうに夫に言われると、妻は「休むことさえ責められるのか」と深く傷つきます。
わかってほしい妻と、心が閉じていく夫。
HSP妻は、
「どうして平気なの?」
「普通は気になるでしょう?」
「こんなことを言われたら傷つくでしょう?」
と思っています。
でも夫は、本当にそこまで感じてはいないのです。
それを
「普通わかるでしょう?」
「どうしてわからないの?」
「おかしいよ!」
と言い続けると、夫はやがて面倒くさくなって、心を閉ざし始めます。
どうでもいいことで、怒られる。
神経質すぎる。
扱いきれない。
本来優しい夫であっても、強い口調で責められ続けると、限界を感じ始めます。
妻の言葉や反応を無視したり、家に帰るのを避けたり、家を出たり、離婚を口にしたりするところまで行く場合もあります。
HSP妻は「わかってほしい」と訴えたいだけなのに、
夫は「もう疲れた」と心を閉じて行く。
妻は、その夫の反応にも人一倍傷ついて、パニックや抑鬱になって行くことさえあります。
HSPが悪いわけではない
結婚生活がうまく行かなくなるのは、妻のHSPそのものが悪いわけではありません。
問題になのは、自分の感じ方を「人間なら当然そう感じるもの」と勘違いしてしまうことです。
では、どうすればよいのでしょうか?
HSPの繊細さは、善でも悪でもありません。
正解でも不正解でもありません。
夫婦の間で、
「感じ方の違い、どちらが正しいか」という話にしないことが大切なのです。
ただ、「私はこう感じる」と伝えることだけをしてみましょう。
たとえば、
「普通、こんなことはしないよ!」と言うのではなく、
「私は物の配置が変わっていると、すごく気になる。落ち着かなくて、リラックスできないんだよね」
と伝えるだけにしておく。
「どうして出しっぱなしにするの!」
ではなく、
「落ち着かない。使ったら元の場所に戻してもらえると助かる」
とだけにしておく。
疲れて横になっている時は、
「人混みに行くと、すごく疲れるんだよね。そういう体質なの。サボっているのではなく、回復するためだから休ませて」
と説明する。
前者は、「あなたが間違っている」という伝え方ですが、
後者は、「私はこう感じる。だから、こうしてもらえると助かる」という伝え方です。
そして、相手が自分と同じように感じないことにも、理解が必要です。
夫にも、「そう感じない自由」を残しておいてあげましょう。
「私は気になる。でも、この人は本当に気にならないのかもしれない」
と夫の感じ方も想像してあげてください。
同じ感じ方になれなくても、
お互いに相手の感じ方を想像することで歩み寄り、思いやることができるのです。
HSP妻は、自分の取扱説明書をつくるのも良いかもしれません。
こんなことで疲れる。
こんなことで傷つく。
一人になる時間がどのくらい必要。
と前もって相手に伝えておくと、トラブルを回避できることもあります。
「どうしてわかってくれないの!」
と毎回思うことも、ストレスです。
必要なのは、違いを「間違い」にしないこと。
お互いの違いを受け入れ合い、
自分の普通が、相手の普通ではない前提に立ってください。
感じすぎる妻が悪いのでも、
感じなさすぎる夫が悪いのでも
ないのです。
夫には感じられないことを妻が感じることができ
妻にはない大らかさを夫が補ってくれるとしたら、どうでしょう?
そんなふうに違いを生かせれば、
責め合っていた二人が、
足りないところを補い合える、
最高のパートナーになることだってできるのです。

