復讐心で離婚を拒むと、相手に人生の主導権を奪われ依存状態に陥ります。相手の不幸を願う沼から脱出し、自分が本当に幸せになるための選択肢を取ることで、人生の主導権を取り戻す具体的な考え方を解説します。
不倫された妻が「離婚しない」と決めるとき、復讐心があってもおかしくない
不倫された妻が、夫を愛しているから、という気持ちだけではなく、
「絶対に離婚してやらない」
と思うことがあります。
離婚なんかして、夫を自由にしてしまったら、不倫相手の思う壺ですよね。
自分はこれほど傷つけられて、眠れなくなったり、食べられなくなったり、これまで信じていた人生そのものを壊されたのに、夫と不倫相手だけが幸せになるなんて許せない!
そんな気持ちになるのも、仕方ないことだとは思います。
不倫された直後の妻の心には、自分でも驚くほど激しい怒りや憎しみが湧きます。
「私が味わった苦しみを、あなたたちにも味わわせたい」
「一生、不倫相手という立場のままでいればいい」
「夫の心を取り戻して、最後には私を選んだのだと分からせたい」
そこまで考えてしまうことも珍しくありません。
私は長く夫婦関係の相談を受けてきましたが、不倫された妻の心が一時的に夜叉のような心になる話を、幾つも聞いてきましたし、
私自身も体験しました。
それほど不倫という出来事は、人の心を深く傷つけるものなのです。
そんな状態の妻に、
「復讐なんて、おそろしいことを考えてはいけない」
ともっともらしく言ったとしても、単なるきれいごとに過ぎません。
まずは、自分の中に復讐したいほどの痛みがあることを、認めなくては前に進めません。
ただし、その復讐心をこれからの人生の方向を決める羅針盤にしてしまうかどうかは、また別の問題なのです。
復讐のために離婚しない生き方は、夫と不倫相手に人生の主導権を渡してしまう
「離婚しなければ、不倫相手はいつまでも結婚できない」
「夫を自由にしなければ、二人は幸せになれない」
そう考えると、確かに離婚しないことが復讐になるように見えるかもしれません。
けれど、ここには一つ大きな落とし穴があるのです。
それは、相手が、妻の思った通りに苦しむとは限らない、という点です。
妻が離婚しないことで、不倫相手が何年も苦しみ続けると思っていても、その女性は既婚男性との関係だからこそ心地よいのかもしれません。
口では「奥さんと別れてほしい」と言っていても、いざ男性が自分だけのものになった瞬間に気持ちが冷める人もいます。
夫の側も、離婚できないことをそれほど苦痛に感じず、家庭を残したまま不倫だからこそ得られる刺激や非日常を楽しみ続ける可能性もあります。
つまり、
「こうすれば相手は苦しむはず」
と思って選んだ行動でも、その通りになる保証はひとつもありません。
究極的には、何が相手への復讐になるのかなど、誰にも分からないのです。
ここで考えなければならないのは、
「夫と不倫相手をどうしたら不幸にできるか」
ではなく、
「その選択をしている私は幸せなのか」
ということなのではないでしょうか?
不倫された妻は、依存的になる
相手を苦しませるために離婚しない。
相手に敗北感を味わわせるために夫を取り戻す。
相手の幸せを阻止するために婚姻関係を続ける。
そうなってしまうと、自分の人生の判断基準が、すべて夫と不倫相手になってしまいます。
一見すると強い妻に見えるかもしれませんが、実際には、
「相手がどう感じるか」
「相手が不幸になるか」
「相手が悔しがるか」
によって自分の人生を決めてしまっていますよね。
それは主体的に生きているようで、実はとても依存的な状態です。
不倫によって夫に人生を振り回されたうえに、その後の人生まで不倫相手に支配される必要はありません。
###本当の復讐は「被害者」から抜け出し、自分の幸せを選び直すこと
では、どう考えればいいのでしょう?
離婚することが正解、
離婚しないことが正解、
どちらでもありません。
大切なのは、
「私は何を選べば幸せなのか」
をしっかり自分で決めることです。
不倫した夫であっても、離婚せずに夫婦関係を立て直し、その後幸せに暮らしている夫婦はいます。
私自身、夫婦関係の相談を受ける中で、そういう人たちをたくさん見てきました。
不倫が起きる前よりも、お互いの気持ちを理解し合えるようになった夫婦もいます。
「この人を失うかもしれない」という経験を通して、夫が自分にとってどれほどかけがえのない存在だったのかに気づいた妻もいます。
不倫をきっかけに、自分の生き方や夫婦関係を見直し、人間として大きく成長していった人もいます。
もちろん不倫は心を殺されるほどの出来事であること変わりはありませんが、
被害者意識から脱け出して
「私はこれから、どんな人生を生きたいのか」
という主体的な生き方にレベルアップする女性もいることは確かなことです。
離婚して、次の幸せを掴む人もいるでしょう。
再構築して、夫婦という形を保ちながら、自分の人生を充実させていく人もいるでしょう。
どの道を選んでもいいのです。
復讐を意識して、人を憎み続けるには、とても大きなエネルギーが要ります。
相手の動向を気にし続け、夫の気持ちを確認し続け、不倫相手が苦しんでいるかを想像し続ける限り、自分の心はいつまでも不倫の泥沼の中です。
仮に夫の不倫が終わっても、自分の人生の中では不倫の苦しみが終わらないのです。
まずは小さな一歩から
昨日より少し穏やかに眠れるようになるために、
私は何ができるだろう?
自分の好きなことを楽しめるようになるために、今の私は何ができるだろう?
不倫の苦しみに打ちひしがれている時は、こんな小さな問いから
はじめるといいかもしれません。
いきなり、
「私は、これからどう生きれば幸せなのだろう」
と考えても、なかなか答えが見つからないでしょう。
「どうやったら、相手に苦しみをわからせられるか?」
「相手の思い通りにはさせないか?」
という考えから、
自分を大切にするための思考に変わった瞬間から、
人生の主導権はあなた自身の手に戻ってきます。
ここが一番大事な転換点です。
そしていつか、
「あの出来事があったからこそ、自分の人生を本気で向き合えるようになった」
と言えるところまで歩いていけたなら。
それは誰かを打ち負かすことよりも、ずっと大きな
意味を持つ
人生の大勝利なのです。

