親の介護はなぜ私ばかり?きょうだいと限界を迎える前に行う役割分担

コラム

親の介護負担が一人に偏る背景には、幼少期の不平等感や感情のすれ違いがあります。限界を迎える前に「気持ち」と「具体的役割」を分けてきょうだいと共有することが重要です。お互いの状況を可視化し、離れていてもできる分担方法を解説します。

親の介護を一人で背負っている人へ

「長女だから」「親の近くに住んでいるから」という理由で、親の介護問題を一人で背負っていませんか?

親の介護が必要になった時、
きょうだいの間で役割を決めた覚えがないのに、いつの間にか一人に負担が集まっていることがあります。

「長女だから」
「親の近くに住んでいるから」
「女の子は私だけだから」。

そんな理由で、通院の付き添いや買い出しや食事の世話まで、ひとりで引き受け続けて、疲れきってしまうのです。

きょうだいに相談したくても、
仕事で忙しそうだったり、
頼んでも何をしていいか分からない様子だったりすると、
結局、自分で動くほうが早いと思ってしまいますよね。

一方で、その逆のケースの相談もあります。
親の近くに住むきょうだいが何でも引き受けてしまって、親を独占状態。

他のきょうだいには親の様子が何も伝わって来なくて、モヤモヤしているのです。

「私も同じ子供なのに。私だって親のために何かしたい」と言い出しにくいまま、寂しさや
何もできない罪悪感を抱える人もいます。

介護を担っている人も、関わりたいのに入れない人も、基本的には善意と愛があります。なのに、苦しんでいるのです。

きょうだいで介護の話がこじれる背景に、子ども時代の気持ちがある

親の介護のきょうだい間の問題は、
「子どもの頃に親からどう扱われたと感じてきたか?」が、深く関わっています。

「兄は長男だからと特別扱いされていたのに、親の世話は私に任される」

「弟ばかり可愛がられて、私はしっかりすることを求められた延長に、また介護の負担も押し付けられている」

きょうだいで平等に扱われなかった記憶が、心に残ってわだかまっているのです。

今の介護をする世代が子どもの頃はまだ、長男が重んじられた価値観が残っていた世代でもあります。

長男ばかりが優遇されていた家が少なくありません。

また、姉弟の組み合わせの場合は、姉が弟のお世話係となり、母親からの愛情を充分に与えられなかった記憶が強い女性も多いのです。

大人になって、家から出た後に、
きょうだいとほとんど会うこともなくなった人。
話すこともなくなって、近況をほとんど知らない間柄になっていることも珍しくありませんね。

そんな中で、親が介護状態になったからと言って、急に腹を割って本心が話せるか?と言えば、
なかなか難しいということもあるかもしれません。

きょうだいと話すことのメリット

けれど、きょうだいと勇気を出して本音で話してみると、
案外子供の頃のわだかまりが、一瞬にしてとけていったという話を何度も聞いて来ました。

過去にどんなに喧嘩をしていた関係であっても、お互いに歳をとり、それなりの苦労もして来て変わっていることもあります。

同じ親、同じ家庭で育って、共通する想いもあります。
他人とは違う、心のつながりがあるのです。

そして何より、兄や弟は特に、女である自分とは全然違う立場で、親からプレッシャーをかけられて育っていることもあります。

「自由そうに見えた妹が羨ましかった」と重圧を感じていた兄もいるかもしれません。

甘やかされているように見えた弟も、出来の良い姉と比べられて苦しんでいることもあります。

これは相手の話をよく聞いてみなければわかりません。

私自身、要介護の母を施設に入居させる時、姉は障がいと統合失調症を患っているので、

「もしも健常なきょうだいなら、親の介護のことで、相談し合えるののに」と何度思ったかわかりません。

それでも、姉と少し話しただけで
私とまったく違う視点に気付かされたこともありました。

「私ばかり親の介護の担わされて来た」と思い込んでいましたが、
姉は姉で「妹はしっかりしていて、ずるい。私は何もできない」と劣等感のようなものを感じていると聞き、
介護できること自体、ある意味恵まれているからこそなんだな、と気付かされたのです。

親の介護分担は、気持ちと役割を分けて話す

きょうだいで親の介護について話すときは、
最初から「誰がどれだけやるか」だけを決めようとすると、お互いに責められているように感じることがあるかもしれません。

まずは、今それぞれが
何に困っていて、親とこれからどう関わりたいのかを話してみてください。

たとえば、
「今は通院の付き添いと病院からの連絡が私に集中していて、少し疲れている。」
と離れているきょうだいに、
素直に伝えることから始めてみましょう。

離れて暮らす側なら、
「任せきりになっていて気になっているの。
親の今の様子を教えてほしい。私にできることも一緒に考えたい」

と切り出してみるのもいいかもしれません。

そのうえで、通院、連絡、買い物、手続き、費用など、実際に発生している事柄を文章にして、共有し、

・近くに住む人にしかできないこと。
・離れていても引き受けられること。

をわけてみます。

平等に同じことをするより、
誰が何を担い、
難しくなったらどう相談するかを決めるほうが、
続けやすくなります。

子ども時代の気持ちを話せるなら、それも大切な対話になって行きます。

すぐに深くまで分かり合おうとしなくてよいのです。
「私はあの頃、こう感じていたんだよね」と伝え、
相手の話も聞くことで、
親やきょうだいを少し違う角度から見られるようになり、心が軽くなることも実際にあります。

介護をきっかけに、疎遠だったきょうだいがもう一度話せる存在になれば、それは人生の素晴らしい局面と言えるでしょう。

そのための第一歩は、一人で限界まで抱えることでも、遠慮して黙り続けることでもありません。

まずはきょうだいとオープンマインドで、話せていない気持ちを伝えてみることなのです。


■ 芙蓉のメルマガで学ぶ
 毎週水曜日+α配信

メルマガ登録

関連記事

特集記事

TOP
CLOSE