子どもの自立に伴い、夫との二人きりの生活に恐怖や不安を感じる空の巣症候群について解説。不倫やモラハラに耐えてきた妻が、夫との関係を悩む前に「自分がどう生きたいか」という人生の軸を取り戻すための思考のステップを提示します。
空の巣症候群で「夫と二人になるのが怖い」と感じるあなたへ
「空の巣症候群」という言葉をご存知ですか?
空の巣症候群とは、子どもの進学や就職、結婚などによって子育てがひと段落したあと、強い寂しさや喪失感、無気力などを感じる状態のことをいいます。
特に、長いあいだ子育てを生活の中心にしてきた女性に起こりやすいと言われています。
けれど、空の巣症候群の苦しさは、単に「子どもがいなくなって寂しい」ということだけではありません。
とくに、夫の不倫やモラハラなど、夫婦関係が苦しい中で子育てを必死に支えてきた女性にとって、子どもの自立は、もう一度夫婦関係と向き合わなければならないタイミングにもなるからです。
子どもが自立して、家を出ていく。
本来なら、
「ここまで育てられてよかった」
「これからは自分の時間を楽しもう」
そんなふうに思えるものなのかもしれません。
でも実際には、夫と二人の生活になることが、怖くてたまらない。
そう感じている方も少なくないんですね。
特に、
夫の不倫があった。(今もなお続いている)
モラハラで傷ついてきた。
会話もなく、心が通じ合わない。
それでも離婚せず、
子どもを守りながら、
家庭をなんとか回してきた妻にとって、子どもの自立は、
ただの「子離れ」ではありません。
これまでは家の中で、
子どもとの会話があって
子どもの予定があったから、
夫婦二人きりにならずに済んで来た。
子どものためにご飯を作り、
学校行事に行き、進路を考え、
体調を心配し、
「母親としてやること」が
毎日たくさんあった。
ある意味、子育てが、
夫婦関係の苦しさから
自分を守ってくれていた部分もあったのです。
だから子どもが巣立った時、
ただ寂しいというだけではなく、
「これから毎日、夫と二人なの?」
「私たち、何を話すのだろう?」
「子どもがいなくなったら、私はこの家にいる意味があるの?」
そんな不安が、一気に押し寄せて来ます。
これは、空の巣症候群の中でも、もっとも深刻な形だといえるのです。
夫の不倫・モラハラを耐えてきた女性ほど「子どもの自立」が怖くなる理由
空の巣症候群は、
「子どもがいなくなって寂しい状態」だけではありません。
もっと深いところでは、
これまで自分を支えていた“役割”がなくなることへの怖さでもあります。
夫婦関係が苦しい中で
子育てを一人で背負ってきた女性は、知らないうちに、
「私は母親だから頑張れる」
という生き方をしています。
夫に裏切られても、
子どもがいるから踏ん張って来れたのです。
夫に傷つくことを言われても、
子どもの前では笑えたはず。
本当は泣きたい夜も、
子どものためなら、心を奮い起こして、明日の朝ごはんを考えられたのではないでしょうか?
そうやって、
毎日を生き延びてきた。それだけ子どもの存在が人生の大きな支えだったのです。
ところが、子どもが自立すると、
子どもを失うわけではないのに、
自分の生きる軸まで一緒に抜けてしまったような感覚
になることがあります。
そして、そこで改めて
長い間、見ないようにしてきたことや、夫婦関係で我慢して来たことが、目の前に現れます。
「私たち夫婦って、
子どもがいなかったら
何が残っているんだろう?」
そんな疑問が浮かび上がって来ます。
夫婦関係が円満ならば、
子どもの自立をお互い労って、
二人で旅行を楽しめる時間が、これから始まるのかもしれません。
でも、過去の不倫やモラハラで
深く傷ついてきた妻は
「これからは夫婦二人なんだから仲良くしよう」
とは、なかなか思えないのではないでしょうか?
これからずっと二人きりだと思ったら、
苦しくて息もできない…そんな妻も少なくないのです。
そんな時、まず必要なのは、
夫との関係をどうするか?を考えないこと。
それよりも先に、
「これから私はどう生きたいのか?」を取り戻すこと
なのだと思います。
空の巣症候群から抜け出すために
子どもが巣立ったあと、
最初に考えるべきことは、
「この夫と、この先どうしよう?」
ではありません。
その前にまず、
私はこれから、どんな毎日を送りたいのか。
そこから考えてほしいのです。
たとえば、
朝、どんな気持ちで目覚めたいですか?
どんな部屋で暮らしたいですか?
誰と話したいですか?
何を学びたいですか?
どんな場所へ行きたいですか?
どんな人と関わりたいですか?
子育て中は、どうしても
「子どもがどうしたいか」
を優先して来たと思います。
でもこれからは、
「私はどうしたい?」と聞いていいのです。
これは、
家庭を壊すという意味ではありません。
自分の人生の中心に、自分を戻す
ということです。
子どもとの関係も、子どもが家を出たからと言って
「終わる」のではありません。
私は、
子どもが成長していく姿を見ることがとても好きです。
小さかった子が、自分で考え、
自分で選び、
自分の人生を作っていく。
そこには、
子育て中とはまた違う喜びがあると思うのです。
親の役割は、「育てる」から「見守り」「応援する」ステージに変わります。
そして、人生のエネルギーも
「子育て」から新しい段階へと広がって行きます。
夫婦、ペット、仕事、友人、地域、次の世代。
もっと広い場所へ
流れていくこともあるかもしれません。
空の巣になった家は、「何もなくなった家」になるわけではありません。
むしろ、これから何を入れていくのかを自分で決められる家だと考えてみることもできるのではないでしょうか?
夫との関係も、
これからどう二人で暮らすのか。
距離を取りながら暮らすのか。
関係を作り直すのか。
それとも、
いつか別の道を選ぶのかさえ、
今すぐ答えを出さなくてもいいのです。
子どもが巣立ったからといって、
次は必ず
「こうならなければならない」という型が決まっているわけではありません。
空の巣症候群は、
人生が空っぽになったサインではありません。
これまで「母」という役割の奥に隠れていた「本当の自分の人生」が
もう一度、
表に出てくるサインとして受け取ってみることも、きっと出来るのです。