毒親介護で人生を壊さないために|自分を守るための境界線の引き方

コラム

「親だから」と我慢し、介護で自分の人生が壊れていませんか?毒親介護の苦しみの正体は、心にある親子関係の呪縛です。福祉制度を活用し、自分の心を守り抜くことこそが本当の親孝行。親の要求と自分の生活に適切な境界線を引くための、思考の転換法を解説します。

毒親介護問題

もしかしたら、あなたはご自身の親のことを「毒親」とまでは思っていないかもしれません。
毒親認定することに、抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。
もちろん、介護で大変になる親が、すべて毒親とは限りません。

ただ、ここでは、子どもが「苦しい」と感じる介護や看取りをさせる親に対して、子ども側がどういう意識で受け止めていけばよいのかについて、言及したいと思います。
今は昔と違って、親の食事、排泄、入浴、通院、身の回りのことを、すべて家族が家で背負う時代ではなくなってきました。

介護制度

デイサービスや訪問介護もあります。
老人ホームという選択肢もあります。
介護保険制度もあります。
では、福祉の力を借りられるようになったから、介護は苦しくなくなったのでしょうか?
そう聞かれたら、私はまったくそんなことはないと思うんですよね。

現実には、80代、90代の親に苦しめられている50代、60代の子ども世代は少なくありません。
今の80代以上の方々の中には、まだまだ古い価値観を持っている方も多くいます。
子どもが親の面倒を見るのは当たり前。
親にお金を出すのは当たり前。
自分たちも親にしてきたのだから、子どもも自分にするべき。

そんなふうに考えている親は、珍しくありません。

親子関係

中には、自分の老後の不安や不満を、子どもに当然のように背負わせようとする親もいます。
「育ててやったんだから」
「子どもなら助けるのが当たり前」
そういう前提で関わられると、長年の関係性から、子どもは断れなくなってしまいます。

また、子である私たちの心の中には、
親には感謝するもの。
親を大切にするもの。
という大前提を、いつの間にか植え付けられてもいます。

そして、これまでがどれほど苦しい親子関係だったとしても、心の奥には親への感謝があり、愛情があります。
「最後くらい、穏やかな親子でいたい」
そんな思いがあるからこそ、簡単に突き放すことができないのですよね。
その子ども側の心の奥にある、見捨てられない気持ち。
そこに、毒親介護問題の根本があります。

自分が壊れてきているサイン

けれど、ここで一度、立ち止まらなければなりません。
親の介護や援助に、言われるがままにお金を出し、労力も時間も奪われ、自分の人生が壊れかけていませんか?
健康を害している。
仕事に支障が出ている。
自分の家庭がギクシャクしてきている。
夫婦関係が悪くなっている。
子どもにしわ寄せがいっている。
自分たちの老後資金が削られて、自分の将来まで不安になっている。
そんな状態になっていないか、冷静に見つめてみてください。

それでもなお、
「親だから仕方ない」
「子どもだから我慢しなければならない」
で済ませていいのでしょうか?
子どもとして冷たい。
親の面倒を見ないなんて許されない。
そんなふうに思わなくて大丈夫です。

本当に親を大切にするとは?

親を大切にすることと、親の要求をすべて受け入れることは違います。
親に感謝することと、自分の人生を差し出すことも違います。
親から生み育ててもらった、この自分の身体と人生を、大切に幸せに生きることこそ、子どもの本当の使命です。
介護で一番危険なのは、自分の限界を超えているのに、目の前の親の要求に対して「いい子」でいようとしてしまうことです。

親不孝だと見られたくない

目の前の親に否定されたくない。
冷たいと思われたくない。
世間から親不孝だと見られたくない。
その思いから自分を削り続け、ふと気がつくと人生が空っぽになってしまうのは、あまりにも悲しい結末です。
親に振り回されることは、本当の愛ではありません。
本当の愛には、必ず境界線があります。
出せるお金は出す。
でも、自分の生活や未来を壊してまで出さなくてよいのです。

関わることはする。
でも、心を壊すほど巻き込まれないでください。
もともと親子関係が苦しかった人にとって、介護はただの介護ではなくなります。
子どもの頃に言えなかったこと。
親の顔色を見て我慢してきたこと。
愛されたくて頑張ってきたこと。
それらが、親の老いの時に、まるで総決算のように浮かび上がってくることがあります。
だから、介護はなおいっそう苦しくなるのです。

親が老いていく姿を見るのは、誰だって切ないものです。
いろいろな葛藤があったからこそ、最後くらい「ありがとう」と言われたくて、頑張りたくなることもあるでしょう。

あなたにとって大事なこと

でも、どうか忘れないでください。
あなたの人生は、親の老後を支えるためだけにあるのではありません。
あなた自身の人生を生きるためにあります。

自分の人生を幸せに生きることこそが、子としての務めであり、本当の親孝行なのです。
あなたの大切な家族とのこれからの人生が、決して介護の犠牲になりませんように。
自分を犠牲にしてまで続ける介護は、いつか怒りや恨みを深めてしまうかもしれません。

そうならないためにも、早い段階で福祉や制度につなぐことを考えても良いのです。
兄弟姉妹や専門家と話してください。
そして、自分の限界を越えないように、自分の心を守ってくださいね。

関連記事

特集記事

TOP
CLOSE