産後に助けてくれなかった夫への恨みが消えないあなたへ。過去の「できなかったこと」と「してくれたこと」を切り分け、視点を変えて夫婦関係を再構築するための具体的な思考の整理法を解説します。
夫への恨みが消えない――産後に助けてくれなかったことを許せない
産後、一番つらかった時。
赤ちゃんは泣き止まない。
夜も眠れない。
自分の時間なんてない時に、
夫は寝ている。
仕事を理由に帰ってこない。
飲みに行ったり、
友達と遊びに行ったり、
ひどい時には風俗や浮気。
「俺にはわからないから」
と、育児から距離を取るそんな夫を見ながら、
「なんで私だけ?」
と思った女性は、とても多いのではないでしょうか。
そして何年経っても、
子どものことを可愛がってはいても、心のどこかで夫を許せない。
夫を信用できないでいませんか?
「どうせこの人は、いざとなったら逃げる」
「どうせ男なんてそんなもの」
「結婚なんて、結局は女が我慢するもの」
そうやって期待することをやめてしまっている女性もいます。
期待しなければ傷つきません。
だからこれはある意味、
自分を守るために身につけた考え方でもあります。
でも私は、夫婦関係のご相談を長く受けてきて思うのです。
その諦めをずっと握ったままでいると、
今この瞬間の、ありのままの夫を、見ることができなくなってしまうのではないか、と。
それは、幸せな家庭を築く上で、とてももったいないことだと思います。
夫を許せない本当の理由――「できなかった」と「愛がなかった」を分けて考える選択
ここで一つ、
まったく違う角度から夫を見てみましょう。
産後、妻がいっぱいいっぱいになっている時に、赤ちゃんのお世話を上手にできる。
夜泣きにも対応できる。
妻の気持ちを察して、料理も洗濯も先回りしてできる。
そんな夫だったら、もちろん素晴らしいです。
でも、それができない夫=愛情のない夫なのでしょうか?
研究では、乳児の泣き声に対する反応について、母親と父親では違いがあることが報告されています。女性だけに生まれつき特別なセンサーがあるわけではありませんが、夫が妻とまったく同じように気づき、同じタイミングで動けるとは限らないのです。
個人差も、経験の差もあります。
また、一方で、女性の方が男性よりマルチタスクをこなすのが得意な傾向がある、という研究もあります。
母親は赤ちゃんを見ながら、
洗濯機を回して、夕食を作り、
同時に予防接種の日程を覚えて、
ミルクやオムツの残量まで気にします。自然にそれができるのです。
「家庭全体を同時に見る能力」が、現実をこなすうちに鍛えられて行く面もあるでしょう。
それに対し、夫はその経験自体が少ないことが多く、妻から見ると、
「なんでそれが目に入らないの?」
という気持ちになることが多いですよね。
夫からすると、
「言われなければわからなかった」
ということが起きるのです。
ここで妻は、夫の「できなかった」を、
「私を気にしてくれなかった。自分のことばかりだった。私を愛していなかった」
に変換してしまうことがあるのではないでしょうか?
私自身も夫婦関係の中で、
「どうしてわからないの?」
「どうして私ばかり?」
と思った経験が何度もあります。
そして、相手のできないところばかり見ている時には、本当に夫が、何一つしてくれていない人のように見えるのです。
でも少し距離を取って人生全体を見ると、違うものが見えて来ます。
赤ちゃんの扱いは苦手だった。
こちらの気持ちを察することも苦手だった。けれども、
家族の生活費を何十年も働いて支えてくれたかもしれない。
重いものを持ってくれたかもしれない。
車を出してくれたかもしれない。
壊れたものを直してくれたかもしれない。
子どものことで、本当に困った時には動いてくれたこともあったかもしれない。
もちろん、これらは人それぞれで、すべての男性がこれらのことが得意だとは言い切れません。
実際に何もしてくれなかったことを
「男だから仕方ない」と正当化する必要もないのかもしれません。
ただ言えるのは、
一つの時期の、一つの能力だけで、その人の愛情全部を判定しなくてもいいのではないか
ということなのです。
###夫への恨みを克服する方法――「できなかったこと」ではなく「してくれたこと」を見る
では、夫への恨みをどう整理していけばいいのでしょうか。
まず必要なのは、
無理に許そうとしないことです。
「あの時、本当に苦しかった」
「助けてほしかった」
という気持ちはなかったことにしなくていいのです。
夫にも、「そんなつもりじゃなかった」で終わらせてほしくありませんよね。
妻がどれほど孤独だったのかを、
一度はきちんと受け止めてもらいたい気持ちは大切にして構いません。
でもその次に、もう一つしてみてほしいことがあります。
今の夫を見てください。
あの時の夫ではありません。今日の夫です。今、夫はあなたのために何をしてくれていますか?家族のために、何を与えてくれていますか?
大きなことでなくていいのです。
ゴミを出してくれた。
車を運転してくれた。
子どもの迎えに行ってくれた。
あなたが寝込んだ時に買い物に行ってくれた。
毎月働いて生活費を入れてくれている。
当たり前になりすぎていて、
あるのに見えなくなっていないか?をもう一度確かめてほしいのです。
恨みを持っている時、人間の脳は、「この人は私を大切にしない」
という証拠ばかりを集めるようになります。
すると、してくれなかったことは10年覚えているのに、昨日してくれたことは、「そのくらいやって当然」で消えてしまうのです。
これでは、夫は永遠に赤点です。
そして、夫が何かをしてくれた時には、ちゃんと認めてみましょう。
「ありがとう」「助かった」
「これやってくれたの、嬉しかった」と伝えてみるのです。
「なんで私ばっかり褒めなくちゃいけないの?」と思う気持ちが湧き起こってくるかもしれません。
それもわかります。
自分なんて、誰にも褒めてもらえなかったのに。
夜中に何度起きても、ご飯を作っても、洗濯しても、
大雨の中、子どもを病院に連れて行っても、誰も「よくやっているね」なんて言ってくれなかった。
なのに、夫が一回食器を洗っただけで、私が
「ありがとう、すごいね」
と言わなければならないの?
と、理不尽に思うでしょう。
でも、ここで大事なのは、
どちらが先に認めるべきかという勝負をしているのではないということです。
あなたが欲しいのは、過去の裁判で勝つことではないはずです。
これから、夫とどんな関係で生きたいのか?そこのはずです。
幸せな家族でありたいのなら、
できないところを責め続けるより、できたところを認めた方が、
人は機嫌良く、愛に溢れた心になって行きます。
そして同時に、あなた自身も、
自分がしてきたことを認めてくださいね。
「誰も褒めてくれなかった」
で終わらせないで
「私は、本当によくやった。今もよくやっている」と
まず、自分が自分に、それを言ってあげてほしいのです。
夫への恨みを手放すとは?
夫への恨みを手放すとは、
「あの時の夫は悪くなかった」
と無理に思い込もうとすることではありません。
あの時の私は、本当に苦しかった。
あの時の夫には、できないことがあった。
でも、それだけが私たち夫婦のすべてではない。そう捉え直すことです。
過去を変えることはできません。
でも、過去にどんな意味を与えて、現在の夫を見るのかは、変えることができます。
「どうせ男なんて」
「どうせ夫なんて」
「どうせ結婚なんて」
そう思いながら何十年も暮らしていたら、
目の前にある小さな愛情を見ることができずに、人生そのものが暗い、色褪せたものになって行きます。
もしかしたら、
あなたはまんざら、不幸な
愛のない結婚生活を送っているわけではないのかもしれません。
ただ、幸せを感じるセンサーを、過去の傷から守るために閉じていただけなのかもしれません。
夫のできなかったことだけではなく、今できているところを見る。
してくれなかったことだけではなく、してくれたことを見る。
当たり前だと思っていたものを、
もう一度数えてみる。
すると、「私は思っていたほど、孤独ではなかったのかもしれない」
と、一気に無色だった時間が、色づいて見えることがあります。
幸せなのだ、と気づく瞬間です。
もちろん、それでも許せないこと、簡単に水に流せないことはあるでしょう。
夫が現在もあなたを粗末に扱っているなら、感謝すれば解決する話ではありません。
「夫を許すこと」と「我慢して夫を受け入れること」の違いの理解も、大事です。
けれど夫への恨みを手放しながら、同時に、自分を大切にする道が今、目の前にあります。
夫婦関係を修復するための第一歩は、今、自分のものの見方を少しだけ変えるところにあるのです。